アニンゲリア
Aningeria spp.
(広葉樹林)
樹木  アニンゲリアは1960年代後半になってやっと用いられるようになった。このアフリカ産の木材は、はじめ
    タンザニアン・ウォルナットという紛らわしい名でお目見得したが、もちろんウォルナットではなく、タンザニアに
    自生はしていても、そこから来たものでもなかった。市場への出荷は主にコートジボアールからで、ここではアヌグレ
    と呼ばれる。

木材  色調はブロンドで、わずかに桃色味を帯び、比重はアフリカン・マホガニーとほぼ同じである。材面にはとくにもくは
    ないが、光沢があり、肌目は精で均一。木理は一般に通直であるが、ときには波状木理があり、まだらもくを形成する。

加工性 アニンゲリアに含まれるシリカは、ごく少量ではあるが、切削刃物を鈍らせる。しかも製材用には、他にもっと扱い
    やすい木材があったので、無地で肌目の精な単板に対する需要が高まるまで、アニンゲリアはまったく注目されなかった。
    その後、アニンゲリアはうまくスライスされることがわかり、その均一な肌目によって、0.6mmという薄さで、しかも
    取扱いも容易な単板がつくられることになった。

用途  ほとんど単板の形で見られるアニンゲリアは、無地ながら魅力的な材面をもっている。しかもその精で均一な肌目は、
    装飾的な高級材を模すプリント仕上げには、なによりもぴったりの原板になる。この用途では、木材の自然の木理が透けて
    見えるので、紙より優れている。プリント合板として家具やパネルの化粧板に用いられているが、生地のままでも同じ用途
    に広く用いられ始めている。
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