アップル/リンゴ〔林檎〕
Malus sylvestris
(針葉樹林)
樹木  アップルは木材としてよりも、果物のリンゴとしてより多く知られており、商品としても果物のほうがはるかに
    重要である。ヨーロッパおよび西アジア産の樹種だが、現在では世界各地に植栽されている。小型の樹木で、
    樹高はせいぜい8〜10mで、幹の形も悪いことが多い。野生リンゴからの木材と植栽されているさまざまな品種の
    リンゴからの木材との間には、ほとんど相違がない。

木材  アップルは淡色ないしやや桃褐色を帯びた木材で、肌目は非常に精で、均一だが、ナシの木材の肌目ほど精ではない。
    形の悪い幹からの木材は、らせん木理をもっている。かなり重く、ブナと同じ程度である。

加工性 乾燥は遅く、乾燥中にひどくねじれたり、裂けたりする。利用の際は安定している。硬く、強く木材で、とくに
    靱性があることで有名である。割裂するのは難しい。製材は容易で、機械加工の仕上りもよい。加工はいくらか難で、
    木理が不規則なときは注意しないと割れが出やすい。着色や仕上げはよい。耐朽性は高くない。

用途  アップルは、供給量が限られていることと直径が小さいことから、工業材料としてよりも手工芸材料に向いている。
    旋作はきわめてよく、また肌目が精なので非常に細かい部分まで表現された彫刻品がつくられる。歯車、木ねじ、
    シャトル、ゴルフクラブのヘッド、鉋、木槌、鋸の柄などの大工家具に用いられる。美しい装飾的な象嵌細工もできる。
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