バルサ
Ochroma pyramidale
(広葉樹林)
樹木  バルサは熱帯アメリカに広く産し、また世界各地でも植栽されているが、主に供給地でしかも市場での最高級品を
    輸出しているのは、エクアドルである。樹木としては生長が非常に早く、5、6年で、樹高が20m、直径が60cmに
    達する幹をもつようになる。

木材  バルサは一般の用いられる木材のなかで最も軽いものである。しかし、重さには差がかなりあり、市場材としてよく
    選ばれるのは、乾燥材の密度の範囲が100ないし250kg/m3で、同じ大きさのブナやナラの木材の1/7ないし1/3で
    ある。最高級品は白色だが、ときにはやや桃色を帯びる。木理は通直で、光沢があり、軟らかく、材面はベルベット
    のような柔らかい感触をもつ。肌目はやや精で均一である。

加工性 乾燥は容易で、乾燥すると安定している。強度は低いが緻密で、加工は容易である。仕上げ面をよくするためには、
    切削刃物を鋭利にしておくことが必要である。熱の伝導が低いこと、音の吸収がよいことで、知られている。
    耐久性は低い。

用途  バルサが、よく知られているのはおそらく模型工作用とか劇場の小道具用としてであろうが、重要な工業用材料の
    一つ
でもある。液化ガスを運搬する船舶の絶縁材として大量に使用されている。冷蔵倉庫などの冷却用、遮音用、
    救命具のような浮き具類などである。コン・ティキ号の筏はバルサの丸太でつくられていた。バルサを芯にして
    金属で挟んだサンドウィッチ構造材料は、飛行機の床板や間仕切りに使われる。
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