ブラジルウッド
Caesalpinia echinato
(広葉樹林)
樹木  ブラジルという名前は、中世期に赤色の染料を生産する植物、とりわけ東インド諸島産のC.sappanに用いられていた。
    16世紀にポルトガル人が南アメリカに入植した際、彼らはそれとよく似た染料の原料となる樹木を発見し、それを機縁
    にこの新しい土地にブラジルという名を与えた。したがって、実は木材の名前が国名になったのであって、その逆では
    ない。ブラジルウッドC.echinatoはペルナムブコとも呼ばれ、ブラジルの海岸沿いの森林中にのみ産する、一般に小型
    ないし中型の樹木で、長さ1m、直径20cmの短材が得られる。

木材  ブラジルウッドは切削した直後は橙色だが、やがて濃赤色に変る。肌目は精、均一で、木理の通直なものを選び出すこと
    ができる。

加工性 重硬な木材ではあるが、加工性は非常によく、仕上げ面も非常になめらかである。

用途  ブラジルウッドは、かつては染料木として高く評価されていたので、数世紀間は王国の専売品とされていたほどであるが、
    19世紀中葉までに需要は減ってしまった。今日、ただ一つの特殊な用途はヴァイオリンの弓で、この木材はそれに必要な
    重さ、曲げやすさ、強さの適度な組み合わせをもつといわれる。これと近縁の樹種であるパートリッジウッドC.granadillo
    はほとんど黒に近い褐色で、警官が用いる警棒や傘の柄にも使われてきた。パウ・フェロ(またはアイアンウド)C.ferrea
    も近縁の樹種で、同じく重硬だが装飾的な木材であり、単板につくられるほか家具にも用いられている。
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