ビャクダン
サンダルウッド

Santalum album
(広葉樹林)
樹木  ビャクダンはふるくからその油と木材で高く評価されてきた。なかでもインドでとれる真正のビャクダンは、木材の
    材質、採取される油の双方とも最良とされる。しかし、芳香がある木材を産する非常に近縁の樹種は、オーストラリア
    や多くの大平洋諸島に分布する。世界各地には、芳香がるというだけでサンダルウッドお名を冠されている。まったく
    関係のない木材さえある。インド南部、主としてマイソールに産するビャクダンは、他の樹木の根に寄生している小さな
    樹木から採取される。木材は非常に高価なため、伐採せずに根ごと引き抜かれ、心材を含むすべての部分が利用される。

木材  肌目は非常に精かつ均一で、木理は通直ないし不規則である。伐採直後は淡黄褐色だが、大気に長くさらされると褐色
    になる。長続きのする独特の芳香をもち、材面にはわずかになめらかな感触がある。比重は高く、ローズウッドとほぼ
    同じである。

加工性 乾燥は遅いが、割れることはない。製材は容易で、加工的性質に富むため彫刻には最適とされる。耐久性は非常に高い。

用途  主に二とおりの利用方法がある。一つは、心材のチップや削片を蒸溜して、世界中で香水の原料とされているビャクダン
    油をとることである。もう一つは、木材を彫刻品、とくに宝石箱、額縁、櫛、ペーパーナイフその他の小細工品にする
    ことである。ヒンドゥー教の葬式では昔から香として焚かれている。東アフリカ産のムフフからとれる油が、ビャクダン油
    の代用にされることもある。
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