エキ
Lophira alata
(広葉樹林)
樹木  アゾベという名でよく知られているエキは、西アフリカに産の木材で、シエラレオネからガボンにかけて産する。
    とくにカメルーンでは重要な木材で、主に同国から輸出されている。アフリカの樹木のなかでは、最も大型になる
    樹種の一つで、樹高は50〜60mに達し、通直な幹をもち、長くて大きい寸法の木材が得られる。

木材  エキは独特な材面をもっている。濃赤褐色ないし紫褐色の地に、道管の条に伴って認められる非常に細い白色の
    柔組織の線がある。肌目は精で、木理は交錯し、ときに不規則になる。比重はきわめて高く、グリーンハートと
    ほぼ同じ程度で、ナラよりは50%ほど重い。

加工性 エキは割れや狂いが出やすいので、乾燥は容易ではない。エキはとても重いので、非常に強くて、加工はきわめて
    困難である。生材のときは製材しやすいが、乾燥材は鋸の刃を早く傷める。穿孔しないと、釘打ちや留め金具を
    つけることはできない。耐久性はきわめて高く、腐朽、白蟻および海虫に対する抵抗性が高い。

用途  エキは非常に優れた構造用材で、フランスなどヨーロッパ諸国では人気があるが、イギリスでは、グリーンハートの
    ほうがよく使われるので、あまり知られていない。大きい寸法のものが得られるので、港湾用、棧橋、突堤、杭、
    鉄道の枕木などに使われている。特筆すべきは、パリのメトロ(地下鉄)のゴム車輪の電車の走行軌道に用いられて
    いることである。
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