ホリー
セイヨウヒイラギ〔棘〕

Ilex spp.
(広葉樹林)
樹木  ホリー類は熱帯や温帯の多くの国々に産し、木材としての関心はもたれているが、どこでも重要な市場材とはなって
    いない。光沢のある葉と赤い果実をつけ、クリスマスの飾りとしてよく知られている。ブラジル、パラグアイ、
    アルゼンチンなどでは、乾燥させた葉(マテと呼ばれる)を茶のように煎じて飲んでいる。熱帯産のホリーは大木に
    なるものもあるが、ヨーロッパのホリー(セイヨウヒイラギ)I.aquifoliumは樹高5〜10mのことが多く、直径は
    30〜50cmである。

木材  ホリーは白色ないし灰白色で、とくに目立つ特徴はない。肌目は精で、均一である。木理は通直ないしやや不規則で、
    丸太の形によって異なる。重い木材で、比重はシデとほぼ同じである。

加工性 乾燥は難しく、狂いを少なくするためには、小さい寸法にしてから乾燥させなければならない。乾燥してからも、
    湿度の変化により収縮、膨張する傾向がある。硬い木材で、機械加工はやや難である。とくに木理が不規則な場合は
    そうである。注意して仕上げれば、非常になめらかな面が得られる。着色はきわめて効果的にできる。耐久性は低い。

用途  ホリーはごく限られた量しか入手できないし、乾燥が難しく、木理も不規則なので、ふつうは小さい寸法にされてから
    用いられる。装飾的な旋作品とか版画などに使われる。木材が白色であるためか、意外なことに黒く染められてエボニー
    の代用とされることもある。
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