ホーンビーム
シデ

Cardwellia sublimis
(広葉樹林)
樹木  市場材として関心がもたれているホーンビームは、ヨーロッパ、トルコおよびイランに産する(日本には同属のもの
    として数種のシデ類がある)。中型の樹木で、樹形はブナに似ているが、一般にブナほど大きくはない。幹の形の悪い
    ものがよくある。

木材  冷たい感じの白っぽい木材で、肌目は精、ほとんど無地に近い。木理は不規則で、とくに形の悪い幹の場合は年輪が
    波状を示すことが多い。温帯産の広葉樹材のなかでも重硬な木材の一つで、ブナあるいはナラより幾分重い。

加工性 ホーンビームは多くの点で比重の高いブナに似ている。乾燥は早くて良好。しかしブナ同様、湿度が変化する場所では、
    それほど安定しているとは言えない。強度はブナに匹敵し、とくに割裂に対しては強い。ブナより重硬であるため、
    加工はずっと困難であるが、旋作にはよく、仕上りは非常になめらかである。曲げ木にもよい。ホーンビームは耐朽性
    は低いが、戸外で用いるための保存処理は効果的にできる。

用途  供給に限りがあるので、今日は特殊な目的にのみ用いられている。この木材は古くから風車や水車の回転装置部に用い
    られ、また割裂しにくいので器具の柄、ジャック・プレイン(木工用鉋)などの用材になってきた。ときには黒く染め
    られてエボニーの代用にも使われた。現在では撞球のキュー、ドラムのスティックに用いられており、ピアノのアク
    ション部用材としてはメープルより優れている。ささくれのできない非常に丈夫な床板になる。
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