インセンス・シーダー
オニヒバ

Calocedrus decurrens
(針葉樹林)
樹木  インセンス・シーダーはアメリカ西部の限られた地域に産し、産地の中心は主にカリフォルニア州北部とオレゴン州
    南部である。中庸の大きさの樹種で、樹高はふうつ30mほどだが、ときに50mに達するものでもある。樹幹は通直だが、
    その形は不規則で、直径は1mないしそれ以上に及ぶ。

木材  ウェスタン・レッド・シーダーにやや似ているが、より淡色で、一般に桃褐色を示している。かすかに芳香を発する。
    老木からの木材は、晩材が細かく詰まって年輪幅が狭いため、非常に精で均一な肌目をもっている。材面はときに腐朽
    した部分があるために汚れているが、これは樹木の中に形成されたもので、この状態を、木材がペッキーである、という。
    比重は軽く、ウェスタン・レッド・シーダーとほぼ同じである。

加工性 乾燥は早く、良好で、収縮も非常に少ない。強度は低く、とくに衝撃に対する抵抗性と剛性は劣るが、優れた加工的性質
    で知られており、切削刃物が鋭利であれば、なめらかな仕上り面が得られる。耐久性は非常に高い。

用途  アメリカ以外では、ペンシル・シーダーの供給量が少ないのを補って、もっぱら鉛筆に用いられている。ペンシル・
    シーダーに比べいくらか軟らかいが、肌目が精で均一なため、きれいに削ることができる。アメリカでは、ベネシャン
    ブラインド、格納箱、屋根板に用いられている。質の劣るものは戸外で使われるが、もともと耐久性があるため、ボール、
    農場用材、鉄道の枕木などに適している。
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