カエデ
メープル
シカモア

Acer spp.
(広葉樹林)
樹木  カエデは北半球の温暖な地方に産し、北アメリカ、ヨーロッパ、日本では重要な木材である。アメリカでは二つの主要
    な樹種のグループが知られ、ロック(またはハード)・メープル(主にA.saccha-rum)、ソフト・メープル
    (A.saccharinumほか)とよばれる。ヨーロッパの主要樹種はA.pseudoplatanusで、英国ではシカモアと呼ばれている。
    日本のカエデの主なものはイタヤカエデA.monoである。

木材  淡色の木材で、木理は一般に通直であるが、ヨーロッパのシカモアはときには波状木理をもち、市場価値の高い
    ヴァイオリンもくを形づくる。鳥の目のようなもく(鳥目杢)をときにつくるロック・メープルはブナよりやや重く、
    ソフト・メープルは25%ほどブナより軽い。日本のカエデは重さの点ではロック・メープルに近い。

加工性 カエデ類は時間をかければうまく乾燥し、利用の際もほぼ安定している。ソフト・メープルは、ロック・メープルより
    はるかに加工しやすいが、ロック・メープルがもっているような強さや優れた耐摩耗性には欠ける。保存処理が十分で
    ない場合、カエデは戸外での用途に用いるべきではない。

用途  高比重、精で均一な肌目、優れた耐摩耗性をもつロック・メープルは絶好の床材で、工場やダンスホール、ボウリング場
    のアレイや体育館、エスカレーターの踏板などに使用される。靴の木製やピアノのアクション部分にも適し、シカモアや
    ソフト・メープルは台所用具やローラーに使われ、波状木理をもつシカモアは伝統的なヴァイオリン用材である。
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