クスノキ
カンファーウッド〔樟〕

Cinnamomum camphora
(広葉樹林)
樹木  本物のクスノキの木材は、中国、台湾および日本に産する樹木から得られ、かつては樟脳の重要な原料であった。
    今日、樟脳は化学合成されるので、クスノキはもはや大きな商品価値をもたない。カンファーウッドという名前は現在
    では、材面や性質がかなり異なっていても、同じような香りをもつ他の樹種にも用いられることがある。本物のクスノキ
    は樹高30m、幹の直径1mに達する中型の樹木である。

木材  独特の香りと材面をもつ。色調は黄色を帯び、赤または赤褐色の縞をもつ。木理はかなり不規則なことが多いので、
    材面は装飾的というより特徴的とでもいうべきであろう。比重は一定ではないが、かなり軽いのが特徴である。

加工性 クスノキの乾燥は、やや狂いが生じやすいが、容易とされている。しかし乾燥すれば、利用の際の安定性はよい。
    軽い木材で、とくに強いとはいえないが、耐久性の高さには定評がある。

用途  クスノキは東アジア以外ではめったに見られず、見られたとしてもほとんど単板の形であり、その装飾的な効果のため
    に寄木細工や象嵌に用いられている。東アジアではこの木材は高く評価され、防虫作用には定評があるので、衣裳箪笥
    や衣裳戸棚、トランク、本箱に用いられている。また古くから棺用材としても好んで使用されている。船員用のチェスト
    はかつてはクスノキでつくられるか、あるいはこの板で内張りされていた。というのは、この木材が内容物の保存によい
    と広く考えられていたからである。
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