ラバーナム
Laburnum anagyroides
(広葉樹林)
樹木  ラバーナムは中央および南ヨーロッパに天然分布しているが、鮮やかな黄色の総状の花でよく知られ、公園や庭園
    などに古くから植栽されてきた。小型ないし中型の樹木で、樹高が10mを越えることは稀である。枝が幹のしたの
    ほうまでついているので、直径の小さい短尺の丸太しか得られないことが多い。

木材  ラバーナムの色は、生材時にはやや緑色を帯びた鮮やかな黄色だが、やがて金褐色に変り、最終的には濃褐色となる。
    濃色の心材は、幅の狭いほぼ白色の辺材と際立った対照を示している。一般に木理は通直、肌目はかなり精で、材面
    には光沢がある。板目に挽いた材面には年輪の模様があり、正確に挽いた柾目面には放射組織による装飾的な模様が
    ある。比重は高く、ナラよりいくらか重い。

加工性 この木材の加工性についての資料はきわめて少ない。乾燥は良好で、重いが、手加工および機械加工はいずれもよい
    といわれている。ラバーナムは仕上りもよく、耐久性が高いことでもよく知られている。

用途  ラバーナムは美しい木材だが、供給が困難であることと、概して小さい寸法のものしか得られないことなどから、
    この木材を見ることは稀である。旋作用としてはきわめて優れており、とくにバグパイプなどの楽器の部品、ナイ
    フその他の器具柄などに用いられている。スライスド単板は美しく、象嵌用に用いられる。その横断面を切り出す
    と、時代物の家具に見られる「オイスター」が出てくる。
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