ランスウッド
Oxandra lancelata
(広葉樹林)
樹木  アメリカでは、アスタの名でも知られているランスウッドは、西インド諸島産の木材で、少量ではあるがジャマイカ、
    キューバ、ヒスパニオラにも産する。小さい樹木からとられ、古くから、長さ3〜5m、直径12〜18cmのスパーと
    呼ばれる短尺の丸材で取引されている。デガメ(アメリカではレモンウッド)とよばれている別のランスウッドは、
    中米および南米から得られる。

木材  ランスウッドは濃色の心材をもつが、市場で好まれるのは淡色のクリーム色の辺材で、それは色のさえないサテン
    ウッドにやや似ている。木理は通直で、肌目は非常に精で、均一である。比重はきわめて高く、グリーンハートと
    ほぼ同じで、世界で最も重い木材の一つである。

加工性 この木材の加工性については資料があまりない。強度的性質のよさが際立ちとくに弾力性とエネルギーの吸収能力が
    あることで知られている。製材は難しく、比重が高いので機械加工も困難だが、仕上り面はなめらかで、旋作性も
    きわめてよい。耐朽性は低い。

用途  ランスウッドは特殊な用途に古くから用いられてきたが、今日では入手できる量が限られている。かつては、弾力性が
    あるので車輪のスポーク、車輌のシャフト、釣竿、撞球のキュー、アーチェリーの弓、ドラムのスティックなどに使わ
    れていた。性質はよく似ているが、ランスウッドほど重くはないデガメは、より入手しやすく、ランスウッドと同じ
    ような用途に用いられている。
back