マラカイボ・ボックスウッド
Gossypiospermum praecox
(広葉樹林)
樹木  マラカイボ・ボックスウッドはサパテロとも呼ばれ、長らくボックスウッドとして扱われてきているが、植物学的
    には本物のボックスウッドとは関係がない。キューバやドミニカにも産するが、市場材はコロンビアとベネズエラ
    (この木材が初めて入手されたのはマラカイボ湖周辺地域であった)から供給されている。他の多くの貴重材と同じ
    く、比較的小さな樹木から採取される。以前は直径15-20cmの丸太の形で輸出されていたが、現在は製材の形で
    輸出されることが多い。

木材  本物のボックスウッドにきわめてよく似ている。肌目は非常に精で、均一である。木材の色は黄色だが、本物の
    ボックスウッドよりやや淡色で、ときにはほぼ黄白色を示す。木理は通直で、特別なもくはもたない。
    重さは本物のボックスウッドよりも約20%軽い。

加工性 本物のボックスウッドと同じく、加工性が非常によいことで知られている。本物のボックスウッドと比べると、それ
    ほど硬くなく、加工もやや容易だが、より割れやすい傾向がある。しかし、仕上り面はなめらかで、ごく細部まで
    表現された彫刻ができる。耐朽性は低く、また悪い条件下に置いておくと、すぐに変色し始める。

用途  本物のボックスウッドよりも、大きい寸法の木材が得られる利点がある。製図器具、定規にとくに適している。
    旋作や彫刻品、版画の版木などに用いられる。無地だが色の均一な象嵌用のスライスド単板にされることもある。
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