ニレ
エルム〔楡〕

Ulmus spp.
(広葉樹林)
樹木  ニレ類は北半球に広く分布しており、材質にやや違いはあるが、ほぼ同じものと考えてよい。とくに重要なものと
    しては、アメリカ産のロク・エルムとホワイト・エルム、ヨーロッパ産のイングリッシュ・エルム、ダッチ・エルム
    およびウィッチ・エルム、それに日本産のニレなどがある。

木材  年輪のはっきりした特徴的な材面をもち、肌目は精で、木理はしばしば不規則である。淡褐色で、ときに赤味を帯び
    たり、ウィッチ・エルムのように緑色を帯びることもある。ロック_・エルムは淡色で重く、ウィッチ・エルムも
    かなり重いが、その他のニレ類は一般にやや軽い。

加工性 木理が不規則な場合は狂いの出る傾向があるが、乾燥は容易である。ロック・エルムは強度の高いことで知られるが、
    概してエルムは強い木材ではない。しかし、曲げ木は非常によくできる。加工は容易で、耐朽性はとりわけ高くは
    ないが、水浸しになるような場所で用いても寿命が長い。短い丸太をくりぬいてつくった排水管が、何世紀もの使用
    に耐えてなお健全なまま掘り出されたこともある。

用途  絶えず濡れているような場所での構造材として、漁船、はしけ、ドック、杭などに使われる。ヴェネツィアのリアルト
    橋はニレの杭の上に建てられているといわれる。棺、下見板、ウィンザー・チェアの座面に伝統的に用いられている。
    今日ではその装飾性のため、家具や床板に広く使用されている。旋作してボウルや、割裂に強いので肉屋のまな板に
    なり、低質材は鉱山、農場などで使われる。
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