クィーンズランド・メープル
Flindersia brayleyana
(広葉樹林)
樹木  クィーンズランド・メープルは、オーストラリアでよく使われ高く評価されている装飾的な木材である。メープル
    (カエデ)とは材面が違い、植物学的にもまったく関係がない。樹高が約30mの中庸な高さの樹木だが、幹が太く、
    直径は1m以上にもなる。クィーンズランド北東部の熱帯林に産する。

木材  クィーンズランド・メープルは淡色ないし桃褐色。あるいは褐色で、材面の光沢が著しい。肌目はかなり粗で、均一
    である。木理は通直、交錯あるいは波状を示すので、材面には縞状または斑状のもくが認められる。斑状のもくと高い
    光沢が結びつくと、水に漏れた絹のように見えることから、シルクウッドと呼ばれることもある。重さはマホガニーと
    ほぼ同じである。

加工性 乾燥は良好だが、木理が交錯ないし不規則のときには狂いが生じる。軽いが、強度的性質はよい。機械加工や手加工の
    仕上りは良好だが、柾目面の仕上げをする際は注意が必要である。耐朽性については明らかでないが、おそらく低いと
    思われる。

用途  オーストラリアでは、クィーンズランド・メープルは、キャビネット、パネル、高級指物に使われるマホガニーなどの
    古典的木材と同等に評価されている。強くてしかも軽いので、ボートや鉄道用客車の骨組、内装に用いられる。ライフ
    ルの銃床につかわれる数少ない木材の一つである。また、ロータリー切削やスライス切削で単板にされ、優れた合板を
    つくることもできる。オーストラリア以外では、主に単板の形で見られる。
back