シナノキ
Tilia japonica
☆国産材/シナノキ科 (広葉樹林)
分布・産地 北海道、本州、四国、九州に分布しており、なかでも北海道が産地としてしられている。よく似たオオバボダイジュ
      (T.maximowicziana)は北海道、本州北・中部に分布している。前者をアカシナ、後者をアオシナとも呼ぶ。
      シナノキは中国大陸にも分布する。ヨーロッパには同類のリンデンバウム(ボダイジュ)(T.xeuropaea)がある。

木材    心材と辺材の境はやや不明で、前者は淡黄褐色で後者は淡黄白色。肌目は精。気乾比重は0.37〜0.50(平均値)〜
      0.61。とくに不快ではないが特有のにおいがあり、これがわかると容易に識別出来る。年輪はあまりはっきりせず、
      均質な木材で軽軟で加工しやすいため、広い用途に用いられるが、どちらかというと個性の少ない樹種である。
      木材中に含まれる糖のため接着、とくに尿素樹脂接着剤によるよくなく、またセメントの硬化不良がおきる。
      さらに釘などの鉄汚染が材中の酸により発生する。保存性は低く、水湿には弱い木材である。

用途    かつてラワンやメランチが合板用材として使われる以前には、北海道のシナノキの合板が多量に市場に出ていた。
      キャビネット、彫刻(北海道などで民芸品)、箱(洋風の菓子あるいは紅茶の箱などでかなり多量に使われる)、
      鉛筆、割箸(外食産業でよく使われる)、器具などが知られている。シナノキの樹皮の繊維は強く、織物に広く
      使われ、船網、箕、酒や醤油のこし袋、蚊張、袴などにも用いられる。オオバボダイジュのそれも同様に使われるが、
      品質がはるかに劣る。
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