トネリコ
アッシュ

Fraxinus spp.
(広葉樹林)
樹木  トネリコの類は温帯北部に広く分布して、ヨーロッパ、北アメリカ、日本などにおける重要な市場材となっている。
    中型ないし大型の樹木で、樹高は20-35m、幹の直径は60cmに達する。

木材  トネリコの類は白色で、伐採時にはやや淡桃色を帯びている。環孔材で、はっきりとした年輪の模様があり、とくに
    板目面では著しい。通直な木理をもち、その装飾的な材面は、とくに日本産の場合、波状木理によってさらに高められ
    ることがある。重さにはかなり変動があるが、平均すればブナとほぼ同じで、生長の遅い木材のほうがより軽い。

加工性 乾燥は容易で、使用中の安定性はかなりある。強い木材で、靱性の高いことでとくに知られている。製材ならびに機械
    加工は容易で、仕上りもよい。蒸し曲げ加工もよくできる。腐りやすいので、戸外で使用するためには保存が必要である。

用途  トネリコ類の性質には幅がある。あるものはきわめて靱性が高く、そのため、運動具(とくにテニスのラケット、
    ホッケーのスティック、野球のバット、体操器具、クリケット用の柱)とか梯子の横木、斧、つるはし、ハンマーなどの
    柄に用いられる。これらの用途には、生長の早い樹木から得られる通直な木理の木材が要求され、ヨーロッパ、とくに
    イギリスのトネリコが好まれている。トネリコ類の他の用途としては、園芸用器具の柄、バスやトラックの車体、農業
    機械の木製部品、家具やボートの曲げ木部分などがある。
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