ヤナギ
ウイロー〔柳〕

Salix spp.
(広葉樹林)
樹木  世界各地には100種を越えるヤナギがあるが、産地のいかんにかかわらず、木材そのものに関しては大きな違いは
    ない。また、どこにおいても、市場材としての大きな重要性をもっていない。多用されるのは、むしろその若枝は
    頭木法(樹冠を切り落とすこと)あるいは萌芽法で生産され、通常、年に一度非常に細い枝(つまり小枝)が多量
    に生産される。

木材  ヤナギの木材はポプラのそれと酷似しているため、顕微鏡を用いなければこの二つを識別することは容易でない。
    色調は淡く、肌目は非常に精であり、特別なもくをもたない。重さはポプラとほぼ同じだが、生長のよいものは
    いくらか軽い。

加工性 乾燥は早く、良好で、一般に乾燥すると、利用の際は安定している。とくに強くはないが、ささくれを起こさずに
    エネルギーを吸収する性質があるため、クリケットのバットには最良の木材とされている。加工は容易で仕上りも
    よいが、腐朽の起きやすい条件下では腐りやすい。

用途  軽く靱性があるため、古来、義足や義手に用いられている。また、ポプラとともに果物かご、木靴にも使われる。
    さらに、摩擦を受けても簡単に発火しないので炭坑での巻揚げギアのブレーキ・ブロックに使われる。ささくれに
    強いため床板にもなる。クリケットのバットは、硬く均一に生長するよう植栽された特殊なヤナギからつくられる。
    小枝は編み細工やかごに、頭木法で得たやや太い枝は棒や編み垣に利用される。
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