ユウ
Taxus baccata
(針葉樹林)
樹木  ユウは西および中央ヨーロッパ産の木材だが、西アジアや北アフリカの限られた地域にも産する(日本には同属に
    イチイがある)。樹木としてはよく知られているが、木材としての市場での関心は薄い。ユウはどこにでもよくある
    というわけではないし、樹木の大きさもせいぜい中庸(樹高10〜20m)で、幹も短く、深い軸方向の凹凸(フルート)
    をもつことが多いからである。

木材  ユウは美しい木材で、伐採直後は赤色だが、長く大気にさらされると褐色に変わる。年輪はあるが、生長がきわめて
    遅いことが多いので、あまりはっきりとは見えない。肌目は非常に精かつ均一で、不規則な木理がしばしば材面を
    より装飾的にする。ユウは最も重い針葉樹材の一つで、ピッチ・パインとほぼ同じ重さをもっている。

加工性 乾燥はかなり早く、良好である。ナラとほぼ同じ硬さの強い木材で、弾力性と割裂に対する抵抗性があることで名高い。
    木理が不規則な場合は仕上げに注意が必要だが、加工は良好である。

用途  ユウの最も有名な用途が弓、とくに中世イギリスの長弓であろう。ユウは、主に民芸品に使われているが、美しい家具
    用材で、ウィンザー・チェアの曲げ部分に古くから用いられている。パネル洋の単板にスライスされる。寸法の小さい
    ものは旋作されたり、装飾的な細工物に使われる。耐久性があるので農場用の柵や間柱などに優れている。
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